飯島天太 公式ブログ

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いじめ問題への対策

横浜市における『いじめ問題』の現状

 

横浜市教育委員会が昨年(令和4年)11月に作成した

令和3年度「暴力行為」・「いじめ」・「長期欠席」の状況調査(小中学校)

によりますと、令和3年度の小中学校におけるいじめの認知件数7,556件であり、

前年度と比較して2,028件(36.7%)増加したとのことです。

 

 

神奈川県教育委員会が作成した令和3年度神奈川県学校統計要覧によると、

横浜市小学校の数は、令和3年度時点で本校・分校を合わせて337校

児童数の合計は176,757人

中学校の数は同じく令和4年度時点で本校・分校合わせて145校

生徒数の合計は77,515

 

それぞれ小学校と中学校毎に別々に見ていくと、

小学校のいじめ認知件数は6,168件。

いじめ加害者と被害者を単純にそれぞれ1人対1人と仮定する場合、認知件数1件に対して2人が被害者、もしくは加害者として関与していることになるので、12,336人。

児童の総数が176,757人なので、最低でも全児童の約7%がいじめの加害者、もしくは被害者になっているということが分かります。

 

また、中学校のいじめ認知件数は1,388件。

児童の総数が77,515人なので、最低でも約3.6%の生徒がいじめの加害者、もしくは被害者になっているということが分かります。

 

 

いじめ認知件数とは?発生件数との違い

 

いじめ認知件数とは、平成18年度以前においては『いじめ発生件数』としていたものの呼び方をいじめ認知件数と改めたものであり、行政が把握しているいじめの件数とほぼ同義であるため、実際には学校や教育委員会などの行政側が認知していないいじめ(暗数)が数多く存在しているものと推測されます。

ただし、従来のいじめ発生件数という名称では、闇雲に数字を減らせば良いという考えからいじめ問題そのものを無かったことにしてしまう可能性がある一方で、いじめ認知件数と名称が変わったことで、行政側がいじめの発生を認知し、その認知件数の多さにかかわらず、解決件数の割合を高くすることが重要であるという考え方へシフトしていったと考えると、今までひた隠しにされてきたいじめを見つけ出して解決させよう、という行政側の努力も伺えます。

 

 

複雑化するいじめの方法

 

児童や生徒の多くが携帯電話やPHSすら持っていなかった時代とは異なり、いまやスマートフォンを1人1台持つことが最早当たり前の時代。

それまでもインターネット上では学校裏サイト学校掲示などの問題があったものの、パソコンが家にあり、子供が自由に使える家庭がそう多くはなかったことから、問題にこそなっていたものの、いじめ全体の総数から見れば比較的少数でした。

ところが現代ではスマートフォンを使用して、インターネットにアクセスすることが容易になったことから

Twitterツイッター)やLINE(ライン)、Instagram(インスタグラム)などのSNSソーシャルネットワーキングサービス)やメッセージ交換アプリ

Youtube(ユーチューブ)やTiktok(ティックトック)といった動画配信サービス

これらを使用した、新しい形のいじめが近年急激に増えています。

また、スマートフォンを持っていない子供がハブられたり無視される、といったようなイジメも数多く発生しています。

 

 

実際の事例

 

ネットいじめ、SNSいじめのトラブル事例3選。親の心がけや対策を専門家が伝授 - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース (softbank.jp)

 

【町田小6女児自殺】「ネットいじめ」から子どもをどう守ればいいのか|FNNプライムオンライン

youtu.be

 

スマホ持たせる前にルール決めを…「SNSいじめ」が問題に 宮崎県|FNNプライムオンライン

www.youtube.com

 

 

現代のいじめの特筆するべき問題

 

現代のいじめ問題は、従来から存在するような『学校内でのいじめ』よりも更に悪質かつ、深刻になっています。

上記の実例として上げたSNSでのいじめ3例や、東京都町田市の小学校6年生女児が自殺に追い込まれてしまった痛ましい事件などでは、一部の有識者や専門家の方々が家の中までいじめがついてくるということを仰っしゃられていますが、子どもたちにとって家の中という本来一番安全でなければならない場所でも、一時も気が休まらないという点が非常に悪質かつ、深刻な問題です。

いじめを受けた被害者が『学校に行きたくない』だけでは済まされず、

『この世界で生きていたくない』という、極めて危険な思考へと陥りやすくなっているのです。

 

 

ネットいじめ対策の遅れ

 

横浜市では児童生徒指導・いじめ根絶に向けた各種取組の中で、様々な方針を打ち出していますが、不十分であると言わざるを得ません。

横浜市のホームページ上に掲載されている子供のネット問題への取組に関するものとしては、スマートフォンSNSの利用についての注意事項を纏めた保護者向けリーフレットを配布しているほか、子どもたちのネット利用に関わる実態調査報告書集計結果を掲載していますが、実態調査報告書と集計結果は平成26年のものであり、とても現代の事情に即しているとは言い難いです。

平成26年(2014年)といえば今から9年前のことです。

9年前といってもピンと来ない方が多いと思いますので、わかりやすく当時のニュースを例に上げると

ソチ五輪羽生結弦選手が日本人で初めて金メダルを獲得

中東でイスラム国(ISIS)が勢力を拡大

iPhone6が発売

これらのニュースと同じ時期の調査報告書と集計結果が横浜市の『いじめ対策』のwebページ(最終更新2022年11月28日)上に未だに掲載され続けている時点で、いじめ対策に力が入っているとは到底思えないと感じます。

また、同じページ上の「ケータイ・ネット」から子どもたちを守るための提言に至っては平成20年(2008年)のものであり、これは私(28歳)が13歳の時のものと考えると、いかに対策が遅れているかが伺えると思います。

 

 

実際にネットいじめ対策に取り組んでいる自治体の一例

千葉県・・・青少年ネット被害被害防止対策事業

 

 

早急に更なる対策が必要だが、課題も多い

 

先に実例として取り上げた千葉県の取り組みの中にあるネットパトロールですが、私としては一定の効果はあるとは考えられるものの、そもそもインターネットを利用したいじめは、年々発見しづらくなっているため、その効果は限定的であると考えています。

これはTwitterInstagramなどのSNSではメインとなるアカウントのほかに、複数のアカウント(裏アカウント…通称:裏垢)を使い分けている利用者が増えているという事実が挙げられます。

さらに裏アカウントを保有している利用者の多くはアカウントを非公開にし、許可をしたアカウント同士だけでやり取りができる、鍵アカウント(通称:鍵垢)という設定がされているため、いじめ加害者達が❝鍵アカウントにした裏アカウント❞を通じて連絡を取り合っているケースが多く、いじめ被害者本人や学校の教員、いじめ被害者の親が証拠を抑えることは困難を極めます。

また、LINEなどのメッセージアプリでも表向き存在しているクラスの会話グループとは別に、いじめ被害者をハブいた事実上のクラスグループを作成しているケースも非常に多く見られます。

 

また、仮に学校側がLINEなどの特定のアプリの利用を制限したとしても、それが実際に守られているケースは殆どなく、またLINE以外でもカカオトークやdiscord(ディスコード)などの他のメッセンジャーアプリを利用したり、TwitterInstagramなどのDM(ダイレクトメッセージ)、果てはゲームアプリのチャット機能などを利用することで、いくらでも保護者や学校の監視の目をくぐり抜けられてしまうので、その対策は極めて困難を通り越して、事実上不可能であると言わざるをえないでしょう。

 

 

いじめ加害者の厳罰化、及びカウンセリングの必要性

 

本の学校教育では被害者側が学校に来られなくなったり、別の教室で授業を受けたりなどをするケースがほとんどです。

しかし、本来であればいじめの加害者こそ裁かれるべきであり、被害者の多くが授業を受ける機会を喪失したり、学校行事を諦めざるを得なかったりと、泣き寝入りを強いられる現状は間違っていると私は考えています。

実際他国でのいじめ対策を例に上げると、アメリカでは2019年時点で全ての州で『反いじめ法』が制定されており、SNSなどのネットを利用したいじめ、Cyberbullying(サイバー・ブーリング)に対しても、多くの州でCyberbullying禁止が明文化されています。

 

参考…国立情報学研究所

サイバーいじめと法(福岡久美子 著)

https://dwcla.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1687&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

 

韓国ではいじめ加害生徒を保護者の同意を必要とせず、教育当局が指定した学校に強制的に転校させることができる『強制転校制度』のほか、学校側が問題を起こした生徒の保護者を呼び出し、保護者が応じない場合は学校が警察に告発できる『問題生徒の保護者呼び出し制度』や、保護者の同意を必要とせず成績簿に暴力に加担した事実などを記載できる『学校生活記録簿への暴力記録制度』などが存在します。

 

参考/引用元…一般社団法人全国ICTカウンセリング協会

海外のいじめ対策

https://www.ijimesos.jp/%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81%E5%AF%BE%E7%AD%96/

 

その他複数の国々でいじめ問題に対し、加害児童本人や親への罰則や罰金、カウンセリングの強制。また、学校でもいじめ問題の対策に授業の一環として、いじめについて児童や生徒全員でディスカッションを行ったり、ロールプレイを行うなどの活動を取り入れています。

 

 

本の学校教育委員会は被害者を救済してくれない

 

www.youtube.com

youtu.be

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いじめが社会問題になり始めて数十年。

年々自殺をする児童や生徒の数が増加し、メディアにも多く取り上げられるようになったとはいえ、未だにこの令和の時代になっても子どもたちを取り巻くいじめを巡る環境は改善されているとは言い難いです。

 

 

急ぎ『反いじめ条例』の制定を

 

日本中からいじめを無くしていくために、横浜市においてもいじめ加害者に対する出席停止処分や、カウンセリングの強制のほか、学校や教職員、教育委員会や行政などがいじめを隠蔽したり不適切な対応を行った場合は処罰の対象とする『反いじめ条例』の制定が必要であると考えています。

横浜市が全国に先駆けてこの条例を制定することで、いじめを絶対に許さないという強い意思を示し、安心して子育てができる街づくりの実現に向けて動き出すべきだと私は考えています。