地域交通への課題(1)
一刻も早い市内の公営駐輪場の改築と増設、そして道路インフラの整備の必要性を強く訴えます。
皆さんは今年(2023年)の7月1日に施行される予定の『改正道路交通法』と、『令和2年排出ガス規制』をご存知でしょうか。
7月に施行される予定の改正道路交通法の内容をざっくり要約すると、
最高速度20km/h以下の電動キックボードやモペット(フル電動アシスト自転車)などが『特定小型原動機付自転車』として定められ、16歳以上であれば免許不要で運転できるようになります。
より詳しく知りたい方は、下記のリンクからどうぞ。
そしてもう一つの『令和2年排出ガス規制』とは、その名の通り国内で新たに販売されるバイクの排出ガスを規制するものです。
これは2022年(令和2年)の12月に既に施行されていますが、排気量~49ccの、いわゆる『原付1種』に関しては2025年の10月末まで猶予が与えられています。
さて、これらの法律の改正や規制の強化が、横浜市で暮らす市民の皆さんにとって、一体どのように問題になってくるのか。
それをこれから一つ一つ紐解いて、簡単に解説していきたいと思います。
問題点その1…駐輪場の圧倒的な不足
買い物や子供の送り迎えなど、ちょっとした移動に自転車や原付を利用されている方は多いことかと思います。
しかしそこで、こう思ったことは無いでしょうか。
『自転車やバイクを止めるところがない』と。
実際に私や友人も港南区で自転車とバイクを主な移動手段として使用しているのですが、上大岡駅の市営駐輪場や港南中央の駅前スーパー、港南台駅駅前の市営駐輪場や、スーパーやショッピングモールの駐輪場などなど…
ありとあらゆるところで自転車やバイクが飽和して、歩道上にはみ出している光景をよく目にします。
しかし、ただでさえそういった状況なのに、そこに改正道路交通法と令和2年度排ガス規制が施行されると、一体どうなるのでしょうか。
まず、7月の改正道路交通法によって急速に電動モビリティの普及が予想されます。
ただでさえぎゅうぎゅう詰めの駐輪場に、更に電動モビリティを使う人達が駐輪できる場所を求めて押し寄せます。
そして止めるところが無い人達が、別の駐輪できそうなところを求めて彷徨うか、もしくはルール違反であると知りながら歩道上に違法駐輪を始めるでしょう。
そうなれば歩道上に溢れた自転車や電動モビリティは歩行者の往来の妨げとなり、ベビーカーを利用する子育て世代の方々や車椅子の方々、足の不自由な方々や高齢者の方々にとって非常に歩きづらい環境になってしまいます。
また、歩道上に溢れ出した自転車や電動モビリティは災害時の危険性を大幅に増加させます。
地震や火災が起きて様々なものが降り注ぐ中、安全な場所へ避難しようとする人達の避難経路を妨害してしまうことになると、逃げ遅れた方々の生命に直結します。
そして2025年に令和2年度排ガス規制が原付1種に適用されると、今までの既存の車体規模では環境水準を満たせなくなってきます。
そのため、現在の125cc相当まで車体の大型化が進み、今まで以上に面積を必要とすることから、バイクの駐輪スペースは極端に少なくなっていきます。
例えば既に私の愛車であるホンダのスーパーカブ(AA09)ですら、市営の駐輪場の原付き用駐輪スペースの枠線から大きくはみ出してしまいます。
また、上大岡駅前の市営第8駐輪場にあるような、上段が自転車、下段が原付バイクのような二段式に駐輪するのはかなり困難です。
本来であれば横浜市は行政として、悲惨な交通事故や慢性的な渋滞、温室効果ガスの排出削減などに向けて車の数を減らし、自転車やバイク、電動モビリティでの移動を推進していかなければなりません。
しかし、今の横浜市にはそれらを十分に受け入れる体制が整っておらず、むしろ増えすぎた自転車やバイク、電動モビリティによって、かえって危険が増すという本末転倒な事態になることが予想できます。
また、実際に3月に某箇所の市営駐輪場の管理人の方から直接お話を伺う機会がありましたので、少しご紹介したいと思います。
『この市営駐輪場は市が私どもの会社へ業務委託をしているのですが、横浜市は実際にはほとんど手を付けていない。時代とともに電動自転車が増えてきて、上下二段の今の駐輪場所には重くてとてもじゃないけれど、危なくて止められない。けれど、実際には止める場所が無いから止めざるを得ない。定期の場所は常に順番待ちで、定期外の場所もすぐにいっぱいになる。こんな状況で、これから新しい乗り物が増えても止める場所が無い。改修したほうが良いとは思っているけれど、市は予算をつけてくれない』
※実際に伺った話を纏めて要約した内容です。個人情報の保護のため、お名前と勤務場所は伏せさせていただきます。
問題点その2…手つかずで放置されている危険箇所
バイクや自転車を普段から利用されている方であれば、こう感じたことはないでしょうか。
『道路や歩道の穴や段差、消えかけた横断歩道や停止線が放置されている』と。
たとえば港南区を南北に走る鎌倉街道や、それと直角に交差する形で下永谷方面から港南台方面へ走る舞岡上郷線といった比較的大きな道を走っていても、道路上に大きな陥没穴があったり、段差を感じる機会が多々あります。
そしてそうした穴や段差は大通りだけではなく、裏路地や名前はないけれど交通量が多い通りなど、ありとあらゆるところに存在しています。
さらに、子供達が登下校時に使う交通量の多い道路に整備された歩道が無かったり、ガードレールが整備されていなかったり。
ガードレールが整備されていたとしても、そのガードレールが曲がったりひしゃげたり、錆びたまま放置されているところも多く見られます。
また、歩道が整備されていない道では路側帯に電柱が立っている箇所も少なくありません。
より多くの場所を実際に周って詳しく調査をする必要があると思いますが、例えば上大岡駅付近の『横浜市立桜岡小学校』の近辺の道路などは歩道が整備されておらず、交通量も多く、子どもたちにとって特に危険であると思います。
また、当然ながら自転車や電動モビリティも道路交通法に従って運転する必要がありますが、それは一方通行の標識による指示も含まれます。
しかし、市内や区内の一方通行の指定がある道路の標識の多くには『自転車を除く』や『軽車両を除く』といった補助標識がありません。
このことは2021年5月のカナロコ(神奈川新聞)の記事にもなっていますが、2023年4月現在、その状況が大きく改善しているようには見受けられません。
実際には多くの自転車が一方通行を逆走していることから、市民の皆さんも知らず知らずのうちに道路交通法を違反している可能性が非常に高いです。
また、自転車や電動モビリティによる一方通行の逆走が道路交通法に違反しているということは、万が一皆さんが自転車や電動モビリティに載っている時に交通事故に巻き込まれた場合、一方通行を逆走していた皆さんのほうが加害者として扱われる可能性もあります。
たとえば港南中央駅と上大岡駅の間にある、鎌倉街道から上大岡駅の商店街の方へ抜けるこの道は一方通行で、『軽車両を除く』『自転車を除く』といった補助標識はありませんが、実際には非常に多くの方が自転車で逆走をしています。
また、地面に穴が開いている箇所や道路上の段差が多いということは、自転車や、自転車よりも更にタイヤ径の小さい電動キックスクーターなどにとっては転倒の危険性が非常に高いです。
転倒時に歩行者を巻き込むリスクや、後続車に轢かれてしまうなどのリスクがある現状の道路状態を早急にどうにかしなければ、市内での交通事故の発生件数が増加する可能性が高いのは明らかですし、悲惨な死亡事故や大怪我を負う人達が大幅に増える危険性もあります。
結論
以上のことからも私は横浜市、そしてこの港南区での交通渋滞の抑止や、歩行者へ及びかねない危険性の排除。
自転車や電動モビリティ、バイクなどを利用されている方々の利便性の向上、そして何よりも高齢者や子どもたちのためにも、
一刻も早い市内の公営駐輪場の改築と増設、そして道路インフラの整備の必要性を強く訴えます。